闇金解決相談員です。
前回までは闇金自体にクローズアップしたコラムを書いてきたのですが、そこで書ききれなかった違法行為に加担するビジネスについて触れてほしいというお声を頂きました。
そこで今回から少しの間は違法行為に加担する人々と題していくつかの職業について書いてみたいと思います。
配信屋・スパム屋とは
皆さんのPCのメールアドレスやスマホなどのアドレスに定期的に届くスパムメール。今では特定商取引と言う法律で禁じられた行為になっているため違法ですが、ほんの20年前までは合法だったのです。
からくりは時代を経て変わってきておりますがI-modeが出始めた後、それほど時間も空かずにスパムメールは登場しました。
チェーンメールと呼ばれた時代
当時のi-modeは容量も無く、白黒モニターでパカっとあくタイプの携帯といわゆるバータイプと呼ばれる電話の2つが主流でした。
このころにすでに迷惑メールはその姿を見せ始めていたのです。
最初のころはメールにアドレスが付着しており、クリックすると卑猥な画像が見られたり、不幸のメールのように何人にメールしないと不幸が訪れるといったカワイイものでした。
ところが、配信屋がこのチェーンメールにを目を付けたのです。
PCアドレスではなく携帯アドレスがもてはやされた時代
当時PCアドレスは人気薄で携帯アドレスへの配信が大人気でした。これはダイヤル回線時代にアダルトサイトを閲覧すると法外な金額の電話料金を請求される詐欺が横行した経緯があるのです。
良く見ていると、パソコンの右下の回線接続ランプが一瞬消えてすぐに点灯するといったことがあったのですが、この時に専用の国際線ダイヤルに切り替えて昔のダイヤルQ2や国際回線をつかった高額請求ビジネスを再来させてしまったのです。
このダイヤル回線切り替え詐欺も猛威をふるったため、40代以上の方は覚えている人も多いと思います。その歴史があるためPCアドレスについては詐欺やウイルスに対する耐性が高い人が多く存在しており、スパムメールを送るリスクが高かったことや売上に直結しずらいというのが人気薄の理由だったのでしょう。
スパムメールと呼ばれる時代へ
出会い系サイトが台頭した来た折、業者は1人の男性を獲得するのに約3,000円を広告代理店などに支払っていたと言われております。それでも女性と会いたいと言う男性が後を絶たず業者は大儲けしており業者はこぞって宣伝費を湯水のようにつかっておりました。
そこへ、チェーンメールを送りつけたらもっと安く効率良く顧客獲得ができないのか?と考えた名簿屋・広告代理店がいたのです。
これが後の配信屋、スパム屋と呼ばれる職業です。かれらは名簿屋と呼ばれる個人情報を収集する会社であったり、ネット専業の広告代理店だったりしました。
彼らはまず、プログラムを作りました。これは画期的と言えば聞こえはいいですが初期の迷惑メールの基礎プログラムであるため、迷惑千万といった表現が正しいでしょう。
どんなプログラムか?
パソコン上で英数字を作り上げていくだけの簡単なプログラムですがこのプログラムで、携帯電話のメールアドレスを作っていたのです、これを生成と呼んでいました。
当時のアドレスはせいぜいが10ケタ以下でしたのでそれほど負荷もかからずに出来上がったアドレスを配信マシーンと呼ばれるパソコンにセットし、かたっぱしからバラまいたのがスパムメールなのです。
例えば、
00000001@****.ne.jp から 99999999@****.ne.jp までを繰り上げ計算してリスト化します。これをcsvと呼ばれる保存方式で保存しリストが完成します。
その後、配信マシーンと呼ばれる特殊な設定をしたパソコンにセットしてばらまくのです。
配信マシーンってなに?
単なるパソコンですが、メールをアドレスを大量に送るためだけに作られたパソコンです。初期のころはASDL回線の出始めでしたから契約した回線を通してひたすら毎日、メールを送り続けました。
ところが、チェーンメール自体が問題になってきたのです。
欲しくもないメールが勝手に届いて止めることも出来ないと言う世論が大きくなってきたのです。
そこで、携帯各社は対策を講じることになります。中身は極秘ですから私ごときにはわかりませんが、当時を知る広告代理店の方が言うには、
「IPアドレスで判別して迷惑メールに使われている回線からはメールを送信しない」
というものだったそうです。毎日、何千通、何万通と作れたリストにメールを送るわけですから、携帯会社はそれが個人ではないことなどすぐにわかります。
そこで、大量に送信を繰り返すアドレスに対してメールアドレスではなく、IPアドレスでブロックをかけたようなのです。
こうなると、表面上のアドレスを変えて送り続けると言うことができません。契約しているネット回線自体が使えなくなると言うことになるわけです。しかし、残念ながら長くは持たなかったそうです。
リボルビングシステムを組み込んだ配信マシーン
複数回線を切り替えながら配信を繰り返すと言うプログラムが登場したのです。1つのパソコンの手前に使える回線が10本あるとします。パソコン上では一定数の送信メールを送ると、回線を自動的に切り替えてまた別のアドレスを送信するというプログラムが稼働しているため、1つの回線がブロックされるまでの時間が稼げたと言うことと、知らない間に送信ブロックされる心配が軽減されたのです。
これにより、また迷惑メールが爆発的に増えてきたのです。
sendNGを逆手に取ったプログラム
迷惑メールが一向に減らないので携帯会社はブロックをさらに改良してきます。比率ブロックを入れたと言われております。これはある回線から100通のメールアドレスに対して一斉メールを送ったとします。そのうち、50通が到達しない場合、50%の送信NG率と言うことになります。
業者はリストを生成しているため、使えないアドレスなども含まれているためこの比率が高いわけです。ここに目を付けたのが比率ブロックだと言われております。
あくまでも想像の範囲ですが例えば、ある配信業者が1日に10,000通の一斉送信をしているとします。ところが実際に届くのは4,000通と言う場合、送信NGは60%になります。そこで携帯会社は送信NGが一定率以上になっている回線からの送信をストップするようにしました。たとえば、400通送って送信NGが240通を超えていると、401通目以降は送らないようにしたのです。これはとても効果的だったと思います。
しかし、あっという間に対策されてしまったのです。
なぜか?
今でもPCのメールアドレスなどでは残ってますが、アドレスが間違っていたりすると、送信者に対して「送れませんでした」メールが届くのは皆さんご存知ですか?
Undelivered Mail Returned to Sender
このようなリターンメールが返ってきて、本文には送ることができなかったアドレスが記載されているのです。
スパム業者はこれに目を付けたのです
つまり、送れないアドレスをリストから削除して再スパム業者はこれに目を付けたのです。リスト化すれば100%送信OKになると言うのです。
悪い人の考える知恵には頭が下がります。ただ、尊敬はしません。今では犯罪行為ですから。
結果としてまた迷惑メールが爆発的に送られてしまうことになりました。
ドメイン指定と長いアドレス
そして迷惑メールに対して新しい手段としてドメイン指定受信などが登場しました。業者のスパムマシーンはパソコンでネット回線を使って送信されておりました。携帯会社は各社が専用のIPアドレスを保有し、帯域を携帯ユーザーに振り分けていたためパソコンからの着信を拒否する設定を作ったのです。ただ、仕事がらどうしてもパソコンからのメール受信をNGにすることが出来ない方々も多かったため、ドメインの指定受信機能が出来上がったのだと思います。
これはとても有効手段でした。
同時に、アドレスはできるだけわかりにくい予想が出来ないものが良いと言われ始め、やたらに長いアドレスや顔文字が入ったアドレスやドットなどが混在しているアドレスがふえたのもこの時期ではないでしょうか。
これによりまた迷惑メールが飛ばない平和な時代が戻ってきました。
ところが、これも瞬く間に対策されてしまったのです。